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海堂尊さんの「極北クレイマー」を一気読み。
質が高くて安定している海堂さんの一連の作品群の中でも屈指の面白さだった。
- 作者: 海堂尊
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2009/04/07
- メディア: 単行本
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第三セクター事業の失敗により財政破綻寸前の極北市の市民病院に非常勤の外科医としてやってきた今中が、地域医療の崩壊に立ち会う、というのが粗筋。
以下、雑な感想。
極北市民病院と市役所の実状を描く序盤。医療ではないが公共の非常勤職に何年か就いていた身として、意識の低い「現場」の陰欝さには思わず何度もうなずいてしまった。
そこで、氷姫投入! 融通は効かないが、それを莫大な知識で補う力技に、色々な意味で(笑)快哉を叫ぶ。
水面下で不気味にうごめく産婦人科医・三枝の医療事故問題追求の動き。この部分は「ジーン・ワルツ」をはじめとした他の作品で既に明らかになっていたのですが、結果がわかっていてもそこに至る過程にどきどきさせられた。
姫宮以外にもお馴染みの面子が何人か登場。極北救急救命センターの速水(てっきり彼が主人公だと思っていたのだが。出番はちょびっとで、それも間接的)やら、医療事故を利用して何かを企む女性ジャーナリストやら、そして最後に行方がわからなかった彼の登場。たまげた。
切符のいい女性看護師・並木の真っ直ぐさも良かった。ダメ男だらけなんですね。
対になる作品はまだ判明していないのですが、おそらく救急救命センターに着任した速水の話なのだろう。もしくは「南」?