【堤抄子】

聖戦記エルナ・サーガ(全13巻・完全版は全6巻)

聖戦記エルナサーガ (13) (GFC)

聖戦記エルナサーガ (13) (GFC)

人々の誰もが魔法の素養を持つ世界(ギムレー)の話。
世界を滅ぼさんとした北の魔獣(フレースヴェルグ)をある勇者が退治したが、魔獣は死ぬ間際、触れたものを朽ち果てさせる魔風を体中から吹き出した。
勇者は世界樹イグドラシル)にて人々を魔風から守りつつ、北のヨルズ山の頂きに魔法と反発する力を持つ封魔聖剣(グランテイン)を突き立てた。
聖剣が魔風を遮った風下の土地に、人々はアーサトゥアル、アンサズ、グードランドの三国を作った。

勇者が魔獣を倒してから、長い時が流れた。
アーサトゥアルの王族エルナは、魔法を一切帯びない特異体質であったため、「闇の姫御子」と呼ばれ、従兄弟でありアーサトゥアルの年若い「光の王」エイリークと並び称されていた。
エイリークは強大な魔法を持つ王族だったが、若さゆえ政治的な実権は家臣に握られており、アーサトゥアルを実質的に支配せんと企む大魔導師(ブレスト)ヴァーリは隣国アンサズとの戦に勝利するため「闇の姫御子」を利用することを画策する。
魔法に反発するため何人も触れられない封魔聖剣を、魔法を帯びないエルナに抜かせる、と脅しの交渉をしようというのだ。
最前線にてその話を耳にしたアンサズの第九王子シャールヴィは、事を起こす前にエルナを暗殺するしようと、アーサトゥアルの王城に単身乗り込んだ。
エルナを追い詰めるシャールヴィだったが、ヴァーリの企みを知り、エルナを殺さず連れて逃げることを決意する。
グードランドの竜騎士たちやヴァーリの放つ刺客の襲撃を受けながら、エルナとシャールヴィは世界を救う方法を探し求めるのだった。

……と、あらすじに力が入ってしまうくらい好きなんです(笑)。
登場人物の魅力を引き出し、広く深い物語の風呂敷をしっかりと畳む手腕にやられました。
北欧神話をモチーフにしているのですが、呪文の詠唱には日本古文や祝詞が組み込まれていて、これがまた美しいのです。
少女マンガと少年マンガをいっぺんに楽しめる作品。

聖戦記エルナ・サーガ2(全7巻)

続編。
1から長い時が経ち、人々の多くは魔法を忘れてしまい、代わりに科学が発達した世界(ギムレー)で、新たなエルナが運命と世界に向き合う。


エスペリダス・オード(1〜4巻・以下続刊)

エスペリダス・オード 1 (1) (IDコミックス REXコミックス)

エスペリダス・オード 1 (1) (IDコミックス REXコミックス)

これは、いま連載されているもの。
エルサガと同じくファンタジーものですが、大きな運命に翻弄されるよりは、怨恨の連鎖や業といった人と人との関係性を描くことに重きを置いている物語です。
より祝詞の要素を増した呪歌(のとうた)もまたよろし、です。